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浅い呼吸になる要因とは

オンラインミニクラスでは現在呼吸シリーズをしています。


参加者の方から

「息を沢山吸いたいけど吸えない」

とお悩みをシェアしていただきまして、


わたし個人としても

浅い呼吸については思い当たることがいくつかあります。


 

  1. 自律神経系の反応

  2. 頭と脊椎の微細な動きができる自由度が乏しい

  3. 腕の力みの影響

  4. 腹筋群の力みの影響

  5. 骨盤、そして股関節含め脚のバランス保持の仕方の影響


 

書き出してみると全身くまなく、

呼吸に影響することを実感します。



1.自律神経系の反応


自律神経系。

数年前から興味を持っているのがポリヴェーガル理論です。

自律神経はアクティブな方の交感神経とリラックスに関係する副交感神経の2つ、というのが従来の考えのようですが、

S.W.ポージェス博士が副交感神経には腹側迷走神経系と背側迷走神経系にさらに区別できると発見されたようです。


闘争逃走反応として交感神経系が優位になり、

人とコミュニケーションをとり社会交流するときに働く腹側迷走神経系、

そして危険を察知したときに身を守るための防衛反応として呼吸や心拍を極端に遅くするように働く(シャットダウンや凍りつき)背側迷走神経系があります。


どんな刺激に対して、どの神経系が働くかは、

個人差があります。

個人の発育過程もその要因になるようですが、


なかでも交感神経系が優位なときは、

闘いや闘争のために身体を活性化させ、

呼吸や心拍をあげる働きをしますので、

神経システムとして交感神経系が優位に働くような状況なのであれば、呼吸が浅くなるのは正常な反応とも思えます。



2.頭と脊椎の微細な動きができる自由度が乏しい


脊椎動物にとって、頭と脊椎は重要な根幹です。


この頭と脊椎は、自由にしなやかに動ければ全身の動きやすさや、力の伝達力にも影響します。


逆に

「頭と脊椎は動かなくて良いもの」だったり、

「頭と脊椎は無視して、とりあえず力を入れれば良い」と思っていたり、

身体を強ばらせていることが当たり前になっていたり、

脱力しすぎて動くのに必要な張りがなかったり、

全身の姿勢のバランス調整がうまく働いていない時なんかは、

浅い呼吸にも影響します。

(影響は呼吸だけに留まりませんが)



▶︎▶︎▶︎頭と脊椎が自分の身体のどこにあるかを知って、

頭を脊椎方向へ押し下げた時と、押し下げをやめた時、自分の身体にどんな変化が起きるか自己観察してみましょう。


押し下げから開放された時、

頭と脊椎は伸びやかに自由度が増し、

呼吸ができやすい胴体のスペースができるはずです。



3.腕の力みの影響


腕は、解剖学的には鎖骨・肩甲骨から指先までのことを指します。


そして構造的に呼吸で最も働くのは胸郭です。


この胸郭は、以下の3つで作られるスペースです。

*胸椎(脊椎の連なりの中で、肋骨と関節を作っている) *肋骨(左右12本)

*胸骨(胸の真ん中にある小さなネクタイのような形の骨で、肋骨と前側で関節を作っている)


※画像には胸椎は載っていません




重要なのは胸郭が腕の内側に位置しているということ。


そして

胸郭のうち胸骨は、腕である鎖骨と関節を作っているのもあって、

腕が胸郭の邪魔をし得るわけです。


「肩を動かしてはいけない」ともし思っていたなら、

その想いこそが呼吸を浅くする要因になります。


▶︎▶︎▶︎腕を胸部の前で軽く組み、「腕も呼吸と一緒にゆったりと動いて良い」と思いながら、吸ったり吐いたりしてみましょう。

逆に、「腕を動かさないで呼吸してみよう」としてみてください。

息がしづらくなることがわかると思います。



4.腹筋群の力みの影響


腹筋群。

シックスパックで有名な腹直筋はご存じの方が多いと思います。

が、このほかにも外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋と、全部で4種類の腹筋群があります。


同じ腹筋群とカテゴライズされていても

それぞれ、筋肉の繊維の向きや、どこからどこに付着しているかも異なるため

その筋肉による動きにも違いはありますが、


共通しているのは、

胸郭と骨盤の間を、内臓を取り囲むように付着していることです。


腹筋群が、呼吸で一番働く胸郭に付着しているのです。

だからこそ、腹筋群が不要に力んでいると吸いにくさの要因になります。


また、「呼吸で腹筋を使う」と思っていても、

もっと具体的には、腹筋群は「吐く時」に働く筋肉です。


吸うときには腹筋群の力は逆に不要ということ。



体幹のバランスを調整するのに最低限働くとしても、

吸うときに積極的に使う必要がありません。


▶︎▶︎▶︎寝転んで観察してみましょう。

この時、自分の体重を重力に任せてそのまま力を抜いてリラックスしてみましょう。

その時、身体を支える必要がないため腹筋群も働くことから解放されます。

その状態でゆったりと呼吸をしてみた時と、

意図的に腹筋に力を入れた時の呼吸の違いに着目してみてください。

腹筋群が呼吸に影響することがわかると思います。


起き上がったときにも同様に、観察してみましょう。

寝転んでいた時よりは、身体を起き上がらせておくためにバランス調整のために腹筋群は少なからず働きますが、

「腹筋群は吸うときには必要なく、吐くときに少しずつ締めていく」と思いながら呼吸してみてください。



5.骨盤、そして股関節含め脚のバランス保持の仕方の影響


骨盤を胴体と捉えるか、脚と捉えるか。。。


というぐらい、骨盤は脚と胴体、どちらに対しても重要な構造だと考えています。


この骨盤の可動性と安定性が、なぜ呼吸に影響するのかは

腹筋群が、上部では胸郭に付着していますが、下部では骨盤に付着していますので、

4の腹筋群の不要な力みの影響が骨盤にも波及することが連想できます。

これは逆も言えて、骨盤の動きが乏しくなると腹筋群など(ほかにも影響を受ける筋肉がありますが省略します)を介して胸郭の動きに影響を及ぼします。


その骨盤と足の付け根にあたる関節が股関節です。


脚の筋肉は膝を介しているものも多いので、

膝をピンと張ったままであると、股関節の動きも乏しくなります。


▶︎▶︎▶︎立った状態で、膝を伸ばした状態をキープしようとしてみてください。

股関節も動きにくくなります。その時、呼吸しようとすると努力が必要になります。

逆に、膝を緩めてあげます。そして骨盤も自由に動いていいと思ってあげた時、呼吸に変化はありますか?





このように呼吸には全身が必ず影響します。

全身がどんなバランスで動くかも重要になってきます。



自由で豊かな呼吸のために、何をして何をしなくていいのか、整理してあげることは有用だと思っています。


泉山民衣

兵庫県在住。
サクソフォン奏者・アレクサンダー・テクニーク教師。
昭和音楽大学卒業。

​​

顎関節症、腱鞘炎になったことから、自身の身体の使い方に原因があるのではと考え、2016年からアレクサンダー・テクニークを学び、2021年教師資格取得。

​大阪アレクサンダー・テクニーク教師養成課程OPALサポート教師。

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